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2025/05/30

子どもの読解力の重要性と鍛え方。上岡教授が語る、日常生活で読解力を養うポイント

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読解力はPISA(Programme for International Student Assessment/国際的な学習到達度に関する調査)の一分野としても知られる、重要な力です。しかし、子どもの読解力はどうすれば養えるのか、どれくらい身についているのかわからない人もいるでしょう。

そこで、武蔵野大学で初等教育の研究に取り組まれている上岡教授※に、読解力の重要性と養い方についてインタビューしました。

(※武蔵野大学 副学長 教育学部長 元桐朋学園小学校 教務主任 所属や肩書は発行当時のものです。)

 

※本記事は株式会社Relicとプリゼロを運営する大阪ガス株式会社の連携企画としてカンガエMAX。のコラムに掲載されている記事を許可を得て転載しています。

  

 

読解力は理解力であり論理力。​​すべての教科に繋がる力 

――子どもの読解力は本当に重要なのでしょうか。 

非常に重要です。 

大人が仕事で送るメールがいい例です。内容がわかりやすい人とそうでない人がいると思いますが、その差はまさに読解力です。 

子どもに話を戻します。読解力と聞けば国語だと思われる人が多いでしょう。実際、国語の問題で読解力は必要です。ですが、それだけではありません。例えば算数の文章題を解くのも読解力が影響します。読解力はすべての教科につながる非常に重要な力なのです。 

読解力がイメージしにくい場合は、理解力と置き換えてもいいと思います。より早く、正確に問題を理解する、どう解けばいいか筋道を理解する、要点を的確に理解する、すべて読解力が関わっているためです。算数では、文章題をもっとも要約したものが式と言われています。言語を抽象化したものが数式というわけです。 

最近は算数に限らず、問題文に多くの情報が含まれる傾向にあるため、要するにこの問題は、と要約して筋道を見つけ、素早く解くために読解力が不可欠といえます。 

 

――読解力や理解力を高めるということが抽象的で捉えにくい印象です。 

先ほど読解力は理解力と申しましたが、より身近に捉えるなら論理力と置き換えても問題ありません。文章を読んで、AであればBである、といった論理構成をつかむこと、そこから何を導けばいいのか思考を収束させることも、読解力だからです。 

筋道を立てて話すこと、相手の話を聞いて「要するに〜」と端的にまとめなおすこと、これらができる人は読解力があるというイメージです。 

学校の先生が1分間スピーチを取り入れるのは、まさに読解力を養うためです。1分間で伝わるように話すには、筋道立てて何をどの順で、どこまでの情報量を盛り込むか考える必要があります。これを繰り返すうちに論理的に考え、話すことを身につけていくというわけです。 

 

読解力向上のカリキュラムの質は大きく向上している 

――日本の子どもは読解力が高いのでしょうか。 

これまでのPISAの結果から、読解力は苦手分野というイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、PISA2022で日本の読解力は3位に上昇しました。これは日本の教育が変化し、読解力を身につけるためのカリキュラムが組まれたことによります。 

 

――カリキュラムはどのように変化したのでしょうか。 

大きく変わったのは国語です。これまでは作者や登場人物の気持ちを想像して解く、拡散的な思考の授業が中心でした。多くの情報が含まれている文章を読んで収束させる思考力を問う問題は、それほど多くありませんでした。 

それがここ10年ほどで収束的な思考に関する教材が増えました。拡散と収束のバランスを整えるということは、文学作品を題材にした教材を減らすということでもあります。そのため、文部科学省は思い切った変革を断行する形になりました。賛否様々意見が出た教育業界では大きなニュースでしたね。 

その流れでいろいろと教材が入れ替わり、読解力や論理的・収束的な思考を鍛える教材が増えました。小学校の教材をこれまでの教科書で見比べれば、文量の違いがわかります。あわせて中学入試や高校入試の問題も論理力を大幅に取り入れた問題に変化しています。 

もちろん文学作品は今もカリキュラムに含まれていますし、拡散的な思考は国語において重要であることは変わりありません。作者や登場人物の気持ちを考えることも子どもの成長にとって大切だからです。 

 

子どもの読解力は日々の生活で養う。活かす場も増えている 

――子どもの読解力を養う方法をお教えいただけますでしょうか。 

毎日、昨日やったことを2つか3つ教えて、と会話するだけでも読解力(論理力)を養うことができます。数を絞って伝える場合、頭の中で昨日やったことを思い出し、その中から自分にとって重要な出来事を選ぶことが必要です。これが要約のトレーニングになります。 

同じように、3行日記もいいと思います。書きたいことがいっぱいあっても3行しか書けないので、これも要約が欠かせません。もっとシンプルに、昨日にタイトルをつける、1行でまとめる、というのも情報量を圧縮する収束的な思考のトレーニングになります。 

無駄な情報を削ったときに何が残るのか、一言にまとめるとどのような表現になるか、これを考えることが大切です。日々取り組むことで、大切な情報を見つける力、筋道立てて話す力が養われ、結果として読解力が身につきます。 

 

――学校で読解力を養う、発揮する場面はあるのでしょうか。 

授業中の発表がそうですね。学年によって発表する内容は異なりますが、与えられた時間のなかで、自分が伝えたいことを絞ってわかりやすく話す場が意外と多いと思います。例えば、社会見学のあとにグループで3分、感想を共有するのも発表です。小学生から収束的な思考の経験を積むのはとてもいいことです。 

私は武蔵野大学で学生の発表を聞く機会が多いですが、みんな発表が上手です。小学生から総合の授業などで発表することに慣れているのだと感じますね。そのまま社会に出られるのではと思うほどPowerPointの資料もきれいに作れます。 

準備の段階で、大枠の構成を練り、各パートの要点を思考し、発表内容を作っていきます。ここで拡散的な思考と収束的な思考どちらも使うため、学習カリキュラムの偏りが解消されたことで自然とできるようになっているのではと感じます。 

仕事でも要点を絞って伝えることは重要です。これが教育に取り入れられるようになったことは喜ばしいですね。

 

日常生活を楽しみ、保護者も一緒に読解力を養うべき 

――もし子どもの読解力が伸びていないと感じた場合、どうすればいいのでしょうか。 

日常生活で意図的に読解力を養う機会をつくることです。例えばニュースや新聞をみて、いつ・誰が・どこで・何をやったのか、1分でまとめることをやってみます。これができるようになると、自然と5W1Hを考えるようになります。 

5W1Hにこだわる必要はないので、小学生新聞で気に入った記事について教えて、と聞いてみるだけでも意識が変わるでしょう。 

 

――子どもが嫌がった場合、他にできることはあるのでしょうか。 

理想は親子の日常会話に取り入れることです。保護者の話し方を聞いて子どもは学びます。言い換えると、保護者が論理的に話す家庭環境で育つと、子どもにとって論理的に話すことが自然という認識になります。 

子どもに今日なにがあったのか話してもらったあと、「つまりこういうことだね」、と保護者が要約してあげることで、まとめる=要約するとはこういうものだと経験できます。 

保護者が本を読んで、あらすじを要約して伝えるのもいいと思います。それを聞いたあとに子ども自身が本を読むもよし、伝えたあらすじに対してどう思う?と聞いて考えさせるもよし。保護者と考えが一緒でも違っても、自分で考え、伝えるという経験自体に価値があります。 

親子の会話量が十分にあれば、保護者が論理的に話すこと、子どもに考えを聞いてみることを追加するだけでいいんです。話題が足りないと感じれば、一緒に出かけるなど経験を増やしてあげましょう。子どもは経験すればするほど、成長します。 

大切なのは、保護者が一緒に取り組むことです。難しく考えず、子どもと一緒に過ごす時間を大切に、そして楽しみながら、成長にあわせて少し読解力のエッセンスを取り入れてあげましょう。そうすれば子どもは保護者の狙い通り、読解力を身につけているはずです。 

 

――上岡教授、ありがとうございました。 

 

今回、上岡教授に読解力の重要性と養うポイントについてお話を伺いました。家庭で読解力や論理力を身につけたい方は、上岡教授が監修された「カンガエMAX。読解力アップ講座」や「カンガエMAX。」をご検討ください。

 

「カンガエMAX。読解力アップ講座」は、朝日学生新聞社が発行する朝日小学生新聞「天声こども語」の要約に取り組むことで、読解力・語彙力・常識力を育成する教育アプリです。AIによるリアルタイム添削により手軽に家庭で要約学習に取り組めます。

「カンガエMAX。」は読解力アップ講座の応用コースとして、身につけた読解力を元に考える力(論理力)を育成する教育アプリです。週に30分で考える力や応用する力を身につけられる教材です。お子さんが自然に興味を持てる問題を多数揃えております。

この記事を書いた人

カンガエMAX。編集部